430SCUDERIAについて
先日、430SCUDERIAのマニュアルなどを読み返してみて改めてスクーデリアの価値を再確認しましたよ。
スクーデリアを単なるチャレンジストラダーレの後継レベルと思ってはいけないことに気付きました。
もちろんチャレストはチャレストでいいのですが、チャレストファンから言えば上記の言い回しが引っかかるかもしれません。すみません
しかし、改良箇所と改良レベルが違うのです。コンセプトは同じ極サーキットよりのロードカーですが・・
チャレンジストラダーレの主要改良面は、
@ CCM(カーボン・セラミック・マテリアル)ブレーキの装着と大型キャリパー
A 軽量化(カーボン化など)
・ ドア内張り
・ センターコンソール
・ エンジンルームサイドカバー
・ サイドミラー
・ エアインテークケース
・ 軽量アンダーカバー
・ リアフードスクリーン(Lexan素材)
・ チタンホイールボルト
B 軽量化2
・ カーペットレス
・ ステレオレス
・ フロントラゲッジ内の内張りレス
・ グローブボックスレス
合計 170kgの軽量化
C 専用19インチアルミホイール
D 専用スポーツシート
E 専用スポーツマフラー
F エンジンマネージメントとマフラーなどで馬力が25Ps上がっている。
大体、主なところはこんなところでしょうか
スクーデリアの場合、上記と同じ部分は
@ 同じCCMでもサイズがF430よち大きくなっている
↓ ギリギリですよ、これ

A 軽量ポイントは似ていて合計100kgの軽量化
オプションによってはエンジンフードやディフューザーさえもカーボンになっているものもあります。


C こちらも専用アルミホイール

D こちらも最新専用スポーツシート

E こちらはマフラーの出口を変更する為にチャレンジと同じクロスメンバーに変更し、専用スポーツマフラーを装着。

F こちらはF430とは全く違う方式に変更し20psアップ。
それ以外では・・
@ F1-TRAC(スタビリティコントロール)の採用(599から採用されている)
F1-TRACとは・・F1部門との開発で滑らない為のトラクションコントロールではなく最速を出す為のトラクションコントロールです。
通常のASRではすべりを感知すると、スロットルをカットします、その分もたつきを感じます。
しかし、F1-TRACはすべりを感知すると一瞬スロットルをダウンし、さらに迅速に滑り始める限界までスロットルを上げてくれるのでもたつきがなく最速を出せます。
当然、F1業界TOPであるFerrari F1部門との共同開発です。(もちろんF1にも採用されております)
しかも、599と違い430にはE-DiffがあるのでE-Diffとの連携をとった最新のF1-Trac2が採用されています。
また、「滑り」を感知する部分も昔のように前輪と後輪の速度差から算出する物ではなく、Gセンサーやヨーセンサーなど車体モーメントとの複合したデータからより精度の高い「滑り始め」を算出しています。
A そして次はステアリングギアボックスを軽量化しギア比を変更、それに伴いパワステポンプも新型に変更。
B さらにサスペンションスプリングはチタン製にする事により軽量化
スプリングをチタン合金に置き換えれば、チタン自身も軽く巻き数も減ります。チタン合金の高強度低弾性な性質もありさらに粘りがあります。

C スタビライザーも剛性を上げる為に新設計された空洞アンチロールバーを採用
D エンジン部門ではエルドールコイルを採用したことによってノックセンサーを廃止、より制御が正確で早くなった。
ノックとは・・・点火のタイミングが見合わずピストンが上死点に到達する前に点火してしまい、燃焼した力が上がってくるピストンを押してしまいピストンが壁面をたたく現象のことです。
分りやすく言えば、2速で丁度上りやすい坂道を5速で登ったとき「カラカラ」と音が出る現象です。
もちろん、このときはパワーがありません。
そこで、ノックセンサーが振動を感知した瞬間に点火タイミングを遅らせノッキングを防ぎます。
エルドールコイルとは・・・エルドールコイルとは点火し燃焼したときに出るイオンがイオン電流となってプラグに逆流しコイルに伝わる現象を使い、この電流とパターンを分析した結果からノックが出る状態をプログラムしてありノックが出てから感知するノックセンサータイプと違い、ノックが出る前に制御が出来るようになっています。
その分、多様な走行に対してトルクのバラつきがありません。

E また、空気抵抗にもなるエアフローメーター(吸入空気量の測定センサー)に付いているストレーナー(網)を無くした。
このストレーナーはゴミを取るためでも、触れなくする為でもありません、これには重要な役割があります、それはまばらに入ってくる空気を整流し測定精度を上げているのです。
では、なぜスクーデリアでは網を無くしたのか・・・それは網を外した状態でのさまざまな状態での(その他のセンサーとの比較をしながら)テストを繰り返して取得したデータから吸入空気量を算出できるようになった為です。
実測ではなく吸入空気に抵抗をかけずデータをサンプリングしているわけです。このため約5ps上がっているとのことです。
制御のやり方が違うので、ノーマルのF430の網を取っても不具合が出るだけです。
スクーデリア用

F430以前

F F1の機械部分の変更により、シフトスピードが速くなりました。
変更箇所は・・・・F1システムはオートマとは違い、全くマニュアルミッションと同じ構造でシフトレバーを油圧ピストンで動かしているような物です。
H型シフトで説明すると、2速から3速にシフトする時の動きは2速からニュートラルポジションへ行き、横方向に少し移動し3速に入れる、というような直線的な動きになります。
しかし、スクーデリアでは機械部分の角を削り、さらに正確なシフティングにより縦と横の動きを同時するショートカットのようなシフティングによりシフトスピードが更に向上しました。
458Italiaではカリフォルニアと同じツインクラッチタイプとなりましたので、実質F1システムの最終系となったと思います。

G そしてインテークマニホールドがカーボンになったのも飾りや軽量の為ではありません、ターボ付きのエンジンのように吸入空気の温度が高いと空気が膨張し実際の取り込み空気は少なくなります。
ターボ付きの場合は圧縮した空気が熱により膨張するので、インタークーラーで冷やし空気密度を高めています。
素材をアルミより熱伝導率が低いカーボン製にする事により、内部の空気に熱を与えないようになっております。
よく有るプラスティックのインテークマニフォールドは、こういう利点で開発されております(安っぽく感じるかもしれませんが、コストは同じくららしいです)

H F430の場合はエキゾーストマニフォールド内にプリ触媒が内蔵されておりました排気の抵抗にもなります)しかし、スクーデリアは2次空気システムを統合したマニフォールドにしたためメイン触媒の浄化能力を上げることによりマニフォールド内の触媒を取り外すことが出来ました。

と、スクーデリアはF430とは全く別の車といってもいい位の車です。
お持ちの方は再度認識し直してみてください。
この車の価値は下がらないと思いますよ。
ちなみに私たち技術部門がスクーデリアを見る場合は、430ELPと呼びます。
テスターのファイルや、技術文書がそうなっている為です。
これは、430Evolzione Leggero Pista(Evolution Light Circuit)「軽量サーキット用進化型」の意味です。